梅雨の庭に実るもの

永田りんこです。

梅雨の季節、庭に木の実があります。

苗木を植えて三年目の無花果です。まだ青いのですが、熟したら美味しいのでしょうか。

 

いつの間にか生えて育った山椒の木に、実がついています。山椒の木はもう一本ありますが、こちらには実がつきません。

 

桃の実です。これもまた、いつの間にか生えて育って、花が咲いていることに気づいたののが数年前、今年は実がつきました。たぶんこれ以上大きくはならないので、食べることは考えず、また春に咲く花を愛でることにします。

 

勝手口の紫陽花が、開花しました。額の真ん中が開花すると、やはり華やかです。

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   雨の道に光る         永田りんこ

 

新しいアスファルトが 雨に濡れて

浮き出した油が 七色に光る

灰色の昼間に 色が差す

 

歩く先の水たまりに

何か 光るものを見つけた

どっちが うれしい?

 

五百円玉 と

角が取れて半透明のきれいな石 と

 

どっちも うれしい

 

数字で量れないもの 目には見えないもの

そういうものに どうしようもなく魅かれる

お金がすべてじゃないのよ というのは多分に強がりだけれど

 

換金できない宝物 であるならば

多分 わたしはたくさん持っている

 

 

 

 

 

 

片付け

永田りんこです。

台所の一角、調味料や保存食を置いている場所を片付けました。原稿の〆切が近くなると片付けが始まる、という現象です。思えば中学生の頃から、定期試験の前に片付けをしてました。「やらなくてはいけないことがある」時、「前から気になっていた別のことを先にやってしまう」、心理学で説明できるらしいです。

さて、炊飯器を今まで、使う度にコンロ下の棚から取り出していたのですが、毎日使うものなので、定位置に出しておくことにしました。ロシアがウクライナに侵攻したあれこれで小麦が不足し価格が高騰、戦争については思うことがたくさんありますが、今は置いておいて、「パンがないならお米を食べればいいじゃない」ということで、ご飯を炊く頻度が増えています。

コンロ下が空いたので、隣の棚に詰め込んでいた保存食や調味料を移動して、もっとゆったりと、残量が一目でわかるように収納したいと思います。

隣の棚です。けっこうぎっしりで、奥の方がに何があるのか見えません。ツナ缶を探すのに手探りしないといけません。

これだけ入っていました。全てチェックしましたが、賞味期限切れのものは無し。

アフターです。コンロ下に、乾麺類と、乾物を移動しました。

こちらもアフター、かなり余裕があります。「ツナ缶あったっけ?」も解消、一発で取り出せます。災害時の備蓄については、基本的にローリングストックのつもりですが、もっと考えて足りないものを補充していきたいです。

今日の片づけは終了、いつも、ここに物は置いていません。設備が古く、がんばって掃除しても磨いてもピカピカにはならない台所の写真を、ここに曝すのは恥ずかしいのですが。

紫陽花 その2

永田りんこです。

自宅の紫陽花の色が、これで決定みたいです。

青でもないし、ピンクでもないし、紫色ですね。好きな色です。もともと、庭の別の場所にある紫陽花の枝を挿したものですが、もとの紫陽花はもっと赤の強い紫でした(今年は花をつけていません)。その場所の土の性質によって色が変わる、というのを目の当たりにしました。

 

 

    初夏の景 五句        永田りんこ

 

 色 づ き の 前 の 紫 陽 花 試 験 終 ゆ

 

 花  卯  木  白  昼  生  徒  早  退  す

 

 生  垣  を  雀  の  渡  る  濃  紫  陽  花

 

 梔 子 の 一 片 開 く う す み ど り

 

 梔 子 や 知 人 の 家 を 通 り 過 ぎ

 

 

 

 

 

 

小鳥のこと

永田りんこです。

東京の郊外に暮らしていますが、朝、鳥の声で目が覚めることがけっこうあります。その声が気になりだしたら、もう眠れなくなってしまうので、あまりに早朝だと「うるさい」と感じることもあります。私は「小鳥びいき」なのですが。

キジバトの声が遠くまでよく聞こえるのは、縄張りを主張しているから、らしいです。あと家でよく聞こえてくる、メロディのような、ちょっと言葉のようなさえずり、これの主がずっとわかりませんでした。鳥の鳴き声を聞くことができるサイトをいくつか調べて、それがメジロである、と結論づけました。小さな鳥は鳴き声も小さい、という訳ではないのですね。少なくとも私にとっては目覚ましになってます。

メジロはくっつき合って枝にとまる習性があるそうです。三羽のメジロが次々にやってきてくっついてとまるのを、一度見たことがあります。「本当に押しながらとまるんだ」と「目白押し」を実感しました。三羽と言わず、もっとたくさんのメジロが「押し」ながらとまっているところを見てみたいです。

スズメが好きです。でも家の近くであまり見かけません。もっとたくさん身近にいてもよさそうなのですが。

 

 

   ムクドリが森を揺らす            永田りんこ

 

森中のムクドリが 声を揃える

同じ叫びを揃えて 同じ叫びをくり返し 森中のムクドリが鳴く

いつもの地鳴きでは ない

低く 太く 鋭く 短い 叫びが 途切れることなく くり返される

森の空気も 動悸のように 波を打つ

 

ムクドリの幼鳥が カラスに襲われた

 

カラスの周りを 二羽の親鳥が 飛び回る

近づき過ぎることは できない でも 離れない

 

森中のムクドリが 声を揃えて 叫び続ける

 

ついにカラスは 幼鳥を捕え 親鳥をかわし 飛び去った

 

森が ムクドリの叫び声に 揺れる

 

 

 

 

 

 

 

白い紫陽花

永田りんこです。

勝手口近くに挿した紫陽花の枝が根付き、花をつけました。

5月23日

6月3日

同じ花です。こういう色になりました。もっと濃くなるかと思います。

6月3日、同じ木の別の花

まだまだ小さい紫陽花の木ですが、花は2つあります。私は白い紫陽花も好きです。

というか、どうも私は白が好きです。そしてなぜか、紫陽花の写真を雨の日にばかり撮っています。「白」つながりで、白いカメ・佐吉の物語詩を。

 

 

  佐吉と青葉             永田りんこ

 

カメの佐吉は 弁天様の守るお池に 住んでいる

まっ白な佐吉は 弁天様の御用を いいつかる

お役に立てて 佐吉はうれしい

白ヘビの清十も いろいろ教えてくれる

 

佐吉はその日

たくさんの卵から 子ガメが出て来るところに 行き会った

小さな卵が ゆらゆらゆれて 中から小さなカメが 出て来る

卵はみんな ゆらゆらゆれて 次々に小さなカメが 出て来る

 

よちよちと歩き出す子ガメを 佐吉は じっと見守った

最後の一つ 佐吉はじっと見ていたが

卵は 静かに止まってしまった

さっきまで ゆらゆらゆれていたのに 止まってしまった

 

「どうしたの、がんばれ」

佐吉が声をかけても 卵をゆらしてみても

最後の卵は 静かなままだ

 

椿の葉を ひっくり返して

佐吉は卵を その上に乗せた

 

鼻の先で 椿の葉を押す 佐吉

白ヘビの清十が やって来る

「どうした、佐吉」

「この卵を助けて!」

清十は 何も言わずに 首を横にふった

 

弁天様のお社に たどり着き 佐吉はさけんだ

「弁天様 この卵を助けてください!」

 

何も 起こらない

 

「弁天様 お願いします。この子を助けてください!」

 

佐吉の白い小さい体が 光ったのと

辺りが白い光に つつまれたのと

同時だった

 

まぶしくて目をつむった佐吉が 目をあけると

うす緑色の 小さな小さな子ガメが ふるえている

小さな小さな子ガメは ふるえたまま 動き出せない

 

風といっしょに

ー アオバ ー

と 鈴の音のような声が 佐吉の耳に届く

 

「この子は『青葉』ですね! 弁天様 ありがとうございます!」

 

佐吉と青葉は こうして出会った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お宝さがし

永田りんこです。

先日母校の同窓会のバザーに立ち寄りました。食器が何点が並んでいます。どれも箱などはなく、皿も小鉢もカップも全て100円です。バザー用に寄付された品々、主催者が値段を付ける時に「とにかくなんでも100円で!」だったと思われます。

あるお皿に目が止まりました。もちろん、これも100円です。

 

6枚あります。そっと裏返すと「NORITAKE」の刻印があります。あの日本が誇る世界的な高級陶磁器メーカーです。刻印の真贋を見分ける眼力は私にはありませんが、このお皿の、もの静かなたたずまいにひかれました。たぶんサラダ用の大きさです。また

「家にあるリモージュと、合わせて使える」

とも思いました。使用感が全くなく、ほとんど新品と見える状態の良さです。

収益は全て寄付されるというのがこのバザーの趣旨、買い物(無駄遣い?)の罪悪感、物を増やすことへのためらい、どれも吹っ飛びました。6枚全て買いました。

家に帰って調べたら、1957年~1962年製造の、ノリタケアメリカ輸出用の製品でした。約60年前のもので、きっとアメリカから家族と一緒に戻ってきたお皿なのでしょう。一瞬、しかるべきところへ持っていけば高値で売れる? などと邪ま(よこしま)なことを考えましたが、気に入ったから買ったのです。家で使います。

家には、夫の祖父が戦前の上海で買ってきたリモージュの皿があります。

やはり私に真贋はわかりません。それにいくつか割れたみたいで、数も揃っていません。長年しまいこまれ、埃をかぶっていました。ですが私は、せっかくずっと家にあるのだから使いたい。洗ったらピカピカになりました、素敵なお皿です。

以来、お正月など皆が集まる時に使っています。

 

 

 

 

 

カメはドクダミを食べるか?

永田りんこです。

庭のドクダミが花盛りです。一般的には雑草なのでしょうが、花が咲いていると可愛いので、引っこ抜くのはためらわれます。というのは言い訳で、一番嫌いな家事は「庭の草取り」、二番目は「アイロン」、つまりただのズボラです。

ドクダミは「十薬」の別名があり、薬になります。お茶にしたり、天ぷらにして食べたりもするもするそうです。俳句によく詠まれていますね。名前に反して毒はないので、カメが食べるかしら、と思いました。私の詩や話に出て来る白いカメ(佐吉、といいます)は、きっと食べます。佐吉が食べるのは葉ではなく、咲いたばかりの花を、朝の散歩の時に、1つだけ、です。

 

 

    カメの子ども      永田りんこ

 

カメの子どもは 大きな池で

1ぴきで 暮らしておりました

お池を守る女神さまを

お母さんだと思っておりました

本当は

お母さんガメの産んだ 卵から生まれたんです

 

大きな池は 公園です

人がいっぱい 鳥がいっぱい 魚もいっぱい

池はいつも にぎやか にぎやか

 

カメの子どもが 池の水から頭を出すと

人のこどもが 橋の上から

「カメさん おーい」と 手をふります

カメの子どもも 手をふりましたが

泳いでいるようにしか 見えません

それでも

カメの子どもは うれしくて

お母さんのところへ 行きました

 

お池を守る女神さまは

おひざに乗せて くれました