東京のタヌキ

永田りんこです。堅気の事務仕事もしています。職場は森の中のような、とある大学です。

タヌキがいます。タヌキの写真を撮るのはとても難しいので、子どもの頃から描き慣れている絵描き歌のタヌキを載せます。その後に、詩です。

 

  

   タヌキの森          永田りんこ

 

タヌキの棲む森で ワタシは働いている

森は もっと広くて深かったのだけれど

コンクリートの建物が増え 邪魔とされた木々が伐られた

 

多摩の山から流れてきた タヌキ

この森に落ち着いて 家族が増えたけれど

父さんタヌキは 車にはねられ

母さんタヌキは 病気になって

他のタヌキは 近くにいなくて

男の子タヌキが 一匹で森に暮らす

 

タヌキとワタシと ある日 出くわす

 

残業のワタシ 真っ暗な森は少しこわい

夜行性のタヌキ 軽やかに移動中

記念句碑の前で ばったり 出くわす

 

タヌキ? 見据える ワタシ

目を逸らせない 動くこともできない タヌキ

タヌキは ワタシが こわいのだ

 

ごめんね タヌキ

立ち去る ワタシ

 

タヌキの棲む森に ワタシの職場はある